まこと水産とは

ここ鹿児島の地で釣りにのめり込んだのが2019年。
お店が終わると毎晩のようにアオリイカを求め鹿児島中の堤防に通い、「いつか釣りも仕事にしよう!うん、そうしよう!」と釣り糸に思いを乗せて夢を描いていました。
釣り歴2年目でなんともなタイミングで昨今の流行病が登場し、
「こりゃしばらくは買い付けにも日本中のフェス出店にもできなそうね。よし、今がチャンス!」
と早速1級船舶免許を取得し、と同時に最高な漁師さんと出会いました。
その人はちりめん漁の会社の社長さんで、僕は一瞬でその人の虜になりました。その社長の下で1年間の旬の魚の釣り方を教わりました。

春と秋のちりめん漁のシーズン中は全力でちりめんを追いかけます。
操船や網修理を覚え、日の出とともに海に出て、東シナ海に沈む夕日とともに港に帰ってくる。「今日も無事に帰ってきたな」とどんどん釣りに魅了される自分がいました。

「まこっちゃん、この船で好きに釣りに出てよかどっ!!釣った魚は港に卸せるようにしといたから!!」
釣り歴3年目、ついにその時がきました。初めての僕には丁度良すぎる20フィートのヤンマー船。そして釣った魚が卸せる。
まさに夢がかなった瞬間でした。
それから港の大先輩の漁師さんたちに深々と挨拶をして、凪の日は毎日日の出とともに沖へ釣りに出かけ水揚げをし、
シケの日は波乗りからのジャンベ仕事、家に着くと一瞬で気絶する夢のような毎日を送っています。

一人 海の上から遠ざかる山を眺め、潮の流れに心をゆだねて、船の下にいる魚を想う毎日。
ある日、釣れた魚にいちいち喜ぶ新米漁師の僕はふと違和感を覚えます。

魚にはいわゆる高級魚と呼ばれるものと水揚げしても値のつかない魚がいます。
ジャンベ屋を始めた時もそうでした。アフリカから届くジャンベのボディを見て「これはいい!これはいまいち。」
そうじゃない、そのボディの持つポテンシャルを最大限に引き出していい音に仕上げるのが僕らの仕事じゃないか。
「よし、釣れてくれた全部の魚たちを美味しく仕立てよう!」
そして真っ先に、学生時代に読み漁った星野道夫の本の言葉が思い浮かびました。
"初めて干し肉を腰からぶら下げた時
とても安心したんだ。
また森に入れるって”
僕はずっとこの言葉に憧れていました。
すぐにお世話になっている社長に相談しました。
「水産加工場を作りたいです!」
すると、
「おー!応援するど!」
「ここを改造して作ればよかどー!」
それは、ちりめん工場の中の今は使われていない建物。
そこからはあっという間でした。
社長さんを筆頭に、いつものちりめん漁の仲間とともに自分たちで上下水道、防水工事、空調、必要な設備を整えついに完成しました。
そして僕は仲間に深々と頭を下げ保健所へ走りました。
書類をそろえ夢を語り(申請をした)
「事業所の名前は何にしますか?」
と聞かれ、何も考えていなかった僕は何とも間抜けな顔で
「……”まこと水産”でいいでしょうか?」。

僕はまた一つ大きな夢と返しても返しきれない恩が増えました。
僕を初めて釣りに誘ってくれた友人、
初心者の僕になんでも教えてくれた堤防のおっちゃん達、
社長を紹介してくれた友人、
ちりめん会社のみんな、
ジャンベ屋Cheerfulmarkをずっと支え応援してくれる日本中のお客様、
そして家族、
いつも本当にありがとう!!

「まこと水産」
旬の燻製シリーズ第一弾
「海の干し肉」
明日への乾杯のおともに
時代のサバイブのおともに
「いつもポケットに干し肉を」
ぜひご賞味ください。